育児の悩み

【TED】子育ては何故辛く、ハードルが高いのか|育児本から見える親のパニック

こんにちは!ぽこたにです。

 

大好きな TED Talks に育児に関するプレゼンテーションがあったので紹介します。子育てをしている人なら一度は書店の育児コーナーに行ったことがあると思います。そびえ立つように並ぶたくさんの育児本。少し、異様ではありませんか?

TED プレゼンのタイトルは『幸福は親には高過ぎるハードル』(For Parents, Happiness is a Very High Bar)。”high bar” は体操競技で使われる鉄棒という意味ですが、「高いハードル」という意味もあります。

プレゼンターは『ニューヨーク・タイムズ』の書評記者を務めるジャーナリストのジェニファー・シニア氏。専門は政治、社会科学、メンタルヘルス分野。なぜ現代の親は子育てに自信がなく、育児本に救いを求めるのか?昔と現代の子育てを比較しながら解説します。

あふれる育児本

日本でも多くの育児本が売られていますよね。理系に育てる子育て、叱らない子育て、本好きになる子育て、運動神経がよくなる子育て、病気にならない子育て、バイリンガル子育て、砂糖を使わない子育て…

ありとあらゆる育児の指導書があります。しかし、これらの本は親にとって安心の材料なのでしょうか?子育てを救ってくれる本なのでしょうか?

いいえ、育児本が並ぶ本棚は「救い」や「希望」ではなく、「不安」「パニック」の象徴です。どうやって子どもを育てたらいいのか分からない。何が正しいのか分からない。何を目指して子供を育てたらいいのか分からない。

なぜ今多くの親はこんなにも子育てに関して不安になっているのでしょう?人間がすでに何千年も、指導書なんてなくても上手くやってきた事なのに、どうして今パニックになっているのでしょう?

子供が労働者ではなくなった

ごく最近まで、子供は労働者でした。畑だったり、山だったり、工場だったり。親を見て、同じように働きました。子供は「経済的資産」、つまり経済的に価値がありました。

これは道徳的には問題がありますが、親と子供の間でいわば「お互い様」の関係があったのです。親は子供に衣食住を提供する。その代わり、子供は働いて家にお金を入れる。親子の関係がはっきりしていました。

しかし、現在では子供の権利が認められ、働くことは禁止されています。これは素晴らしいことですが、反対に親子の関係が分かりにくくなりました。

シニア氏はこう言います。

子どもが働けなくなってから、子育ての経済的側面に変化が起きました。冷酷ですが優秀なある社会学者の言葉を借りれば、それ以降の子どもの存在はこうなりました。「経済的には無価値だが、感情的に大きな価値がある」。子どもに働いてもらう代わりに、親が子どものために働くようになりました。

英語では “economically worthless but emotionally priceless” と言っています。子供は働く代わりに教育を受けるようになりました。そして親は子供を育てるために働くようになりました。子供に質の高い教育を与えるため働きお金を作り、習い事の送迎をし、宿題を確認する。まさに、子供のために働くようになったのです。

子供になにを残したらいいのか分からない

子供がまだ労働者の一員だった時代、親が子供に残すべき知識や経験は明白でした。仕事の技術、生活の知恵、道徳的教育。子供たちはこれらを身に着け、大人になり、親と同じように働き家庭を築き生活をしていました。

しかし現代はどうでしょう?親が持っている仕事の技術を子供に教えても、それが将来役立つという保証はあるのでしょうか?

この目まぐるしく、ものすごいスピードで変化している世界。一体子供に何を教えたら将来役に立つかなんてさっぱり分かりません。将来語学が必要だと聞けば外国語を習わせ、チームワークが重要になると聞けばサッカーを習わせ、理系の仕事の方が給料が高いと知れば子供に科学の図鑑を買い与え…

先が読めない未来。将来、どんな世界が待っていてもとりあえず子供が準備できているように、この努力の一つでも実ることを願って親は出来る限りのことを子供にしてあげたいと思っています。だから、ありとあらゆる事を子供に身に着けさせたいと願い、何かやり残したことがないか不安になり、育児指導書を頼りにするのです。

シニア氏はこうまとめます:

何かやり残していることがあるような、何もできていないような、子どもに対する義務を怠っているような気がするからです。

子供の幸福=親の責任?

子供に経済的価値がない今の時代に子育てをする意味は、結局のところ「子供の幸せは何事にも代えがたい」からだとシニア氏は言います。世の中にはいろんな親がいますが、共通するのは「願いはただ一つ。我が子に幸せになってもらいたい(All I want for my children is to be happy)」。

例えば、育児の目的が「子供を有名大学に入れる」なら、その為のノウハウががあります。育児の目的が「子供に農業を身に着けさせる」でも、田植えや収穫のノウハウがあります。カリキュラムに沿っていればその目的が達成できるのです。

しかし、子育ての目的が「子供が幸せになること」の場合、どうでしょう?一体なにをすればいいのか、誰も具体的な答えをもっていません。

なぜなら、幸福とは目的ではなく、何かしたときの副産物だからです。幸福を目的とすることはありえないのです。

こんなにも曖昧で捉えどころのない子供の人生の目的を、親に背負わせていいのでしょうか?ひょっとして私たち親は、勝手にこんなにハードルの高い道徳的責任を背負って、勝手に子育てに苦労しパニックになっているのではないでしょうか?

子育ての目標

現代に通用する完璧な育児の指導書なんてありません。理系子育てが正しいかもしれないし、砂糖を与えない子育てが正しいのかもしれない。結局誰にも分かりません。ならば、古くから伝え続けられている子育てのたった三つの教え― 道徳、勤労、愛― この三つを信じ、この三つを子育ての目標にしませんか。

そして道徳的に育ち生産力があり他人と自分を愛することを知っている子供には自然とそれに見合うだけの幸福が訪れると信じてみましょう。

きっと、それだけでも子供たちは立派に育つし、きっと、親にとっても子供にとってもその方がいい子育てなのではないでしょうか。

おわりに

いかがでしたか?もしあなたが育児書ばかり見て疲れていたり、無限にある育児本を目の前にどれを選んだらいいのか途方にくれたりしているなら、一度立ち止まってこの話を思い出してみてほしいです。

子供の幸せを願うのはどの親も同じ。しかし、そんな高過ぎて途方もないハードルを自分に課さないで、もっと大切で現実的な目標に目を向けてみませんか。

 

 

 

一般向けに書かれたジェニファー・シニア氏の「子育てパラドックス」もおすすめです。

内容紹介

「母」と「父」の意識はなぜすれちがうのか?
子供を持つと、幸福度は低くなる?
育児は親にどんな影響を与えるのか?
最新科学が明らかにする新事実!

赤ちゃんから思春期まで、「子→親」への影響を探る!
第1章 自由――子供ができると失うものは?
第2章 結婚生活――「カップル」から「親」に変わるとき
第3章 シンプルな贈り物――子供がいるからこそできること
第4章 集団活動型育児――子供の「予定」に翻弄される親たち
第5章 思春期――悩むのは「子」より「親」?
第6章 喜び――「子育て」の経験が与えてくれるもの

【TED】我が子を成功させる、やりすぎない子育て|チェックリスト育児、していませんか?TEDで印象に残ったプレゼンテーションがありました。日本語の字幕もつけられるので是非一度視聴してみてくださいね。 タイトルは「我が...

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